top of page

虹彩の宝石箱-資料室-
昔から、表情豊かな彼女 が好きだった。
嬉しいことがあれば目一杯笑うし、悲しいことがあれば直ぐに顔を曇らせる。
ころころと表情が変わって、面白い。可愛らしい。
どうしてあんなに色々な表情が出来るのだろう。
見ているだけで楽しかった。幸せだった。筈、なのに。
理不尽に叱責されて、泣きじゃくる姿。
怯える彼女を励ました後の、心底安心したような笑顔。
彼女の一番近くにいる、僕だけが見られる表情…
もっと見てみたい。もっと欲しい。
僕しか見られない貴方の表情。僕だけの特別な貴女が。
あの日から、ずっとそれだけを願っている。
双子なのに。彼女と僕は全く違う。
きっと彼女は、こんな理由で人を好きになったりなどしない。
まあ、そんな事。考えていても仕方がない。
…貴女の幸せが、全て僕の手によるモノでありますように。
bottom of page