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昔から、表情豊かな彼女が好きだった。

嬉しいことがあれば目一杯笑うし、悲しいことがあれば直ぐに顔を曇らせる。

ころころと表情が変わって、面白い。可愛らしい。

​どうしてあんなに色々な表情が出来るのだろう。

見ているだけで楽しかった。幸せだった。筈、なのに。

理不尽に叱責されて、泣きじゃくる姿。

怯える彼女を励ました後の、心底安心したような笑顔。

​彼女の一番近くにいる、僕だけが見られる表情…

もっと見てみたい。もっと欲しい。

​僕しか見られない貴方の表情。僕だけの特別な貴女が。

​あの日から、ずっとそれだけを願っている。

双子なのに。彼女と僕は全く違う。

きっと彼女は、こんな理由で人を好きになったりなどしない。

まあ、そんな事。考えていても仕方がない。

​…貴女の幸せが、全て僕の手によるモノでありますように。

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