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お父さんがいなくなった。私は、あっさりと孤独になった。

引き取ってくれるような親戚もいなかったから、これから一人で生きていかなきゃいけない。

アイドルデビューが決定した時に、一生分の幸運を使い切ってしまったのだろうか。

それからすぐにデビュー当初から応援してライブにも通ってくれていたファンの子が死んだ。

その子の学校の生徒・教員全員毒死したという恐ろしい事件だった。犯人は今も見つかっていない。

立て続けに不幸が重なって疲れ切っていたわたしのSNSアカウントに、

ある日「伊野紙歌町公式アカウント」からメッセージが届いたんだ。

「うちの町に来ませんか」という勧誘だった。

行ってみたけど、住民の皆さんは人間のわたしにも優しくて、みずは町に居るよりも楽しかった。

だからね。皆。わたし、伊野紙歌町に行きます。今まで本当にありがとう。

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